読書の記録58 神学・政治論 スピノザ 著 2018/05/12
宗教権力に対する抵抗と民衆への不信。
スピノザ、単独者による神聖や世俗への根底的批判である。
本書は光文社新訳古典文庫であり、文章は、ジュブナイル、リライトと思えば、むしろ、それは難解な古典がわかりやすく通読できるという点で優れものである。
私は、岩波文庫の同書を読み、歯が立たなかったのが本書では、あっさり読めた。
読めたからこそ、「宗教権力に対する抵抗と民衆への不信。スピノザ、単独者による神聖や世俗への根底的批判である。」などと書きつけることもできたのである。
そして、本書で私がようやく理解できたことが、「マルクスはスピノザの方法に負う」という言葉である。世界への根底的批判を達成するために、マルクスが古典経済学へ向かうように、スピノザもまた聖書へ向かう。前者は資本主義世界、後者は中世権力である。両者にとって、世界とはテクストである。テクストの検証、批判を通じた「イデオロギー批判」であり、スピノザは、明白な宗教批判だが、マルクスもまた資本主義という宗教性を批判する。
マルクス、スピノザ、それらを「単独者の批判」と呼び、超越論的な視座にある。