資本論で本源的蓄積は欠かすことができない重要な章である
伊藤誠の資本論についての入門書のような本があるが、それも「本源的蓄積」について省いている。
それを省くとマルクスの資本論第1巻の「核心的部分」に触れなくなるのではないか。マルクスは資本主義を「価値交換」から始め、資本の増殖、プロレタリアートの増大を分析するが、それだけでは説明できない資本主義の秘儀を「本源的蓄積」に込めている。理論は労働力を等価交換し、生産を上げる中で搾取=剰余価値を生み出すのだが、それだけでは、マルクスは悪循環になる、と述べ、本源的蓄積を想定した。つまり、マルクスは搾取の前に国家とブルジョワジーの農民への収奪が先行していた。それがプロレタリアートを増大させたのだ、と論じている。