読書の記録163 世間さまが許さない 岡本 薫 著 筑摩新書 2018/12/31
本書は「世間さま」が軸として動いている日本社会では民主主義が向かないのではないか、という論を立て、であれば「世間さま制」にすればよいのではないか、という思考実験をしている。
日本社会で「生きづらい」と奇妙なスラングで感じている人は、その原因がわかるであろう。
そして、「生きづらい」という奇妙なスラングで、その「生きづらい」を自分の発達障害に原因を見出したがる「日本流自己責任論者」は、本書を読み、その「生きづらさ」なる状態は、たまたま生まれた国が日本だからであり、日本に原因があり、「生きづらさ病」から解放されるがよい。
物事は常にシステマチックに見なければならない。
自分をいつまでも責めていても仕方がないのだ。自分をいつまでも責めている人は、あるときのきっかけで自分が悪くなかった、と他者攻撃を行う、そのような病理にならないためにも我々が生きている国・日本について分析した本を読むのは、病理にならない上で必要である。