読書の記録161 定訳 菊と刀 ルース・ベネディクト 著 現代教養文庫 2018/12/24
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「菊と刀」を読んでいる途中だが、なぜ、日本人が他人を助けないのかがようやく私にはわかった。 知りあいでもない他人を助けると恩に着せる、ということで助けられた人間は負担に感じるので助けないそうだ。 著者のルース・ベネディクトは分析して上記のようなことを書いている。 助けられて「負担」に感じる考えを捨てよう。 助けることは「人道上の行為」ととらえよう。 老人が席を譲られて怒るのもようやくわかった。 恩を着せられた、と感じるのが苦痛であり、悔しいのだ。 全く日本人とコミュニケートをするのは困難である。 ということは、コミュニュケーションで悩んでいる人は悩む必要はない。 なぜなら「日本人」という存在そのものがもともとコミュニケーションをとりにくい種族なのだ。
自衛隊員や教師のわいせつ行為を知るたびに「菊と刀」の記述が真実と確信する。
連合軍に降伏した以降の日本人についても論じているが、その中で私が印象に残った記述がある。
天皇がマッカーサー元帥へ訪問し、マッカーサーから神性を捨てろ、と勧告がなされたとき、そのとき、ヒロヒトが述べたことも記述されている。そのヒロヒトの言葉が私には衝撃的なのだ。
なんと、ヒロヒトは、最初から持っていないものは捨てようがない、とマッカーサー元帥へ異議を述べたのだ。
では、現人神はなんなのか?
私はさらに、ヒロヒトへ憎しみを抱いた。
ちなみに、習俗について事細かに書かれているので現代日本人も知らぬ世界が描かれている部分もある。
大多数の日本人は本書に反撥する。
反撥するのは、まさに、本書に書かれてあることが自分に当たるからだ。
日本人だが、日本人とのコミュニケーションに悩む人必読の本だ。