読書の記録56 詳説 障害者雇用促進法 永野仁美 長谷川珠子 富永晃一 編
障害者側に立った判例解説は素晴らしい。
本書は途中で法的差別の説明をしている。
相当、ページを割いて説明している。
差別とはなんであるかが理解できる。
本書は、なぜ、精神障害者や発達障害者が採用されにくいのかを日本企業の採用基準である一般常識やコミュニケーション能力がその原因であることを指摘し、さらに、日本企業の職務範囲が無限定であることがさらに精神障害者や発達障害者を働きにくくさせている、とも指摘している。
そして、私は初めて本書で知ったが、現に雇用している精神障害者を法定雇用率の算定に加えることが可能になったので、クローズで就職しても、明かされるかもしれないことも述べている。
本書で初めて私は知ったが、合理的配慮という法概念が初めて登場したのは、アメリカ公民権法において、それは、宗教に対しての合理的配慮を求めるであり、それが、障害者へ転用されたのである。
このことは、合理的配慮とは、障害者だけに限らず、先ほどの宗教もそうだが、人種、性などもそうだ。
そして、LGBTに対する合理的配慮があってもよい。
われわれ障害者は個々の属性を観照しているだけではなく、様々なマイノリティとともに、合理的配慮の延長を求める人権運動の担い手として自分をとらえ直したほうが、鬱屈はしない。
障害者・労働・福祉・行政・差別に切り込む鋭い本です。
障害者雇用促進法を紹介しておきます。