読書の記録144 デモクラシー・プロジェクト デヴィッド・グレーバー著 2018/11/04
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デヴィッド・グレーバーの活動報告、理論、実践方法が示される本であるが、章タイトルがそんなに無粋ではない。
以下、私の感想。
選挙は貴族政だというくだりを読み、柄谷行人を思い出したが、柄谷よりデヴィッドのほうが鋭いのではないか、と私の印象です。
ソクラテスと結婚したクサンティッペの気持ちを考えたことがあるだろうかは刺激的な一節だ。家族のために何もせず、会う人誰もが何かにつけ間違いを証明しようとし、真実の恋愛は、成年男子と未成年男性のあいだにしか成立しない、という男の結婚などしていたら愚痴の一つもいいたくならないだろうか、は鋭い指摘だ。このユーモラスさは代えがたい。
デヴィッド・グレーバーは明確に警察を拒否しており、暴力装置とまで言っていないが、銃を携帯した武装された行政組織だという認識を有しており、日本の反原連のように警察と仲良くしようなどという利敵行為はない。
そして、明確に新自由主義への批判的視点から共産主義への希望。
デヴィッドは、若いころ、レストランで勤務し生活費を稼いでいたら、デヴィッドの提案に対し、オーナーはそれは民主主義だ、共産主義だ、と非難したことを思いだし、オーナーにとって民主主義=共産主義なのだ、と考え、デヴィッドは明確に共産主義志向を目指す。
ほかに面白いと思ったのは人類の初めての都市国家は厳格なまでの平等主義を1000年間続いた、という考古学者の学説からインスパイアされるグレーバーだ。
また、デヴィッドは、キャンプを作るときの重要拠点として図書館と食堂を挙げている。
とにかく実践的な本だ。
共産主義をとりもどせ