発達障害は「空気感で生きる日本社会」では過剰に見つけられやすいのである

産業構造が第一次産業が中心であれば、融通が利かない、口下手、としても特に問題は起きなかった。それはむしろ真面目、実直、として会社側や地域社会は評価した。その評価されたような人物が、産業構造の変化、地域社会の崩壊により、非常に流れやすい今の社会では発達障害と診断される。
そのような融通が利かない、口下手、という人間は「職人」として尊敬されたような時代が日本にはあった。また、そのような「職人」は「変わり者」として、そのことで非難はされなかった。むしろ、かつての時代、日本では今ではコミュニケーション力がある、と評価されるような人物は「口数が多い」と軽蔑されていたのだ。
発達障害とは時代が生んだ、そして、特に、「空気感で生きる日本社会」では過剰に見つけられやすいのである。
そして、第一次産業が中心の時代が経済成長の時代であり、現在のコミュニケーション力だとか求められるこの時代は「市場に柔軟に対応する経済主体こそが自由であり経済成長できる」という新自由主義と時代と密接にリンクしており、新自由主義の過剰が日本では異常なまでの発達障害のラベリングラッシュになってしまっている。その新自由主義の今、発達障害者という異質の排除には躍起にはなっているが、経済成長はまったくない貧困の時代である。

同僚の話す冗談が通じない奴なんてかつての日本では、ゴロゴロいた。いや、そういう人間しかおらず、冗談言っている暇があるなら仕事をしろ、というのがかつての日本であった。だが、現在は、同僚のとるに足らない冗談を受け止めてへらへら生きるのがコミュニケーション力だと評価される情けない時代でもある。

コミュニケーション力とは、明らかないじり、いじめに対して怒るな、という屈服のスキルのことだろ？
だったらそんなもの不要だ。