読書の記録159 新版 日本語の作文技術 本多勝一 著 朝日文庫 2018/12/15
本書を読んでから週刊金曜日を読み、本多勝一の「日本語の作文技術」が活かされているかを検証してみるのも良い。
私は本書を読み、テンの打ち方や修飾関係がわかりやすい文章を書くようにという作文技術は使います。送り仮名は趣味の問題と本多は言っているし、多分に本多のイメージや美的感覚が本書に作用している。
本多の美的感覚は「アメリカ合衆国」を「アメリカ合州国」と表記するところである。実際、これは、実情に合わせれば、本多が正しいのだが、しかし、些末なことのように見えなくもない。英語をイギリス語と表記するのも些末ではないか。そして、反=白人感情が覗かせるのは失笑ものである。
本多勝一は送りがなは趣味だともいっている。始まる、を、始る、と書いてもよい、と言っている。この部分は文部省に対する批判としてそれは有意義かもしれない。
本多勝一のような表記上の抵抗(英語をイギリス語と変える)は、それこそ、現在のような公文書改竄や漢字が読めない首相がいるような国・ニッポンでは現状肯定というアイロニーでしかなくなってしまう。表記上の抵抗はネトウヨが現在、自家薬籠としている。
そうはいっても、本多の主張は、論理的なわかりやすい日本語を書く、ということである。それは私も同意する。